96年8月8日   寅さん


8月6日から8日まで霧降高原にキャンプに行って来た。
かみさんと長女抜きの男だけの親子3人の初めてのテント生活。
他の家族に比べてキャンプ用品が揃ってなく(飯ごうで飯を炊いたら、
飯粒だらけの飯ごうを開けるまでお湯を沸かす容器がない等、貧困キャンプだ)
霧雨の中で男だけの貧相、ガサツでワイルドな生活。

8日午後、家について久しぶりに新聞を見て俳優渥美清の死を知る。
「フーテンの寅さん」も48作で遂に終わったか。
もう何年も映画館でフーテンの寅さんは見ていないけど、渥美清は
ストイックな俳優だね。

人の好みは色々あって当たり前だけど、俺の好みではハラハラして
見た初期の頃の作品と中期以降の妙に安心して見れた作品。
個人的には寅さんには「国民栄誉賞」は似合わないよ。
そっと野においてそのままにしておきたいね。
 
幾つか印象に残っているうちの一つにこんなのがあった。
確か3〜4作目だったと思うけど。
寅さんが昔世話になったやくざの親分が老いぼれて、寅さんが病院
に見舞いに行くんだ。
老いぼれやくざは「死ぬ前に、音信不通の一人息子に会いたい」と
つぶやく。


寅さん、その一人息子を探し出すね。
超堅物のその息子は「小さい時から親らしい事を何にもせずに、
死ぬ間際になって子供に会いたいなんて、調子が良すぎる。
俺は会わない」。

なんだかんだ言っても親子の縁でしょう、結局は会わせるんだろうなと
思ったら、予想に反して寅さんは、あっさり、息子の言い分を受け入れたね。

スクリーンの中で寅さんが「お前、たった一人の肉親だろう、

何故あってやらないんだ!」

カンカンに怒ってたんかの一つや二つを切るんじゃないかと思ったら実に

穏やかな表情だったのが印象にのこっている。

俺はこのときの寅さんが好きになったよ。

合掌。

        

 

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