05年2月20日  キャッチボール訴訟


『小学生のキャッチボールで死亡事故。6000万円の賠償判決』
宮城県大河原町で児童(小学4年生)二人がキャッチボールをしていて、投げたボールがそれて側にいた別の児童(当時10歳)の胸にあたり、それが原因でその子が死亡し、キャッチボールをしていた児童の両親等に6000万円の支払いを命じた判決が仙台地裁で17日あった。

キャッチボールをした児童二人に対して「キャッチボールの球が人に当たると死ぬ危険性があることは子供と言えどもわかるはずだ」、児童二人の両親には「人を死亡させたあなた方の子供の行為の責任として6000万円支払え」と判断したわけだ。

思うことその一。

訴訟に至るまで当事者間でどういう経緯があったのかわからないけど、今回の判決は事故をおこした児童二人とその家族に対して非常に過酷だと思う。

おれから見たら、犠牲者の子供のほうは、正直に言えば毎日紙面を賑わす新聞の3面記事の1コマにしか過ぎない出来事だ。
「キャッチボールのそれた球で死亡か、かわいそうだね。運が悪いのかな」で終わりになっちゃうよ。

考えさせられちゃうのは、キャッチボールをしたことで小学生に対してこれから一生「回避できた危険性を無視して人を死亡させた<罪>」、その親に対して「6000万円の償いをする」ことを強いことだ。
刑事訴訟じゃなく民事訴訟と言えども
人情としては、とても過酷な<罪>だ。
上告審でまた争うだろうから最終的にはどうなるかわからんけど、いずれにしろ長い裁判をやるんだ。

なにが過酷かって、日常の子供の遊び(キャッチボール)でおきた不幸な事故の償いにしては今回の判決結果が重いっってことだ。
例えば小学生が公園のジャングルジムで鬼ごっこをしていて、誤って上から落ちて死んだ場合に追っかけた子供は、同じような判決を受けてしまうのかな。そんな過酷さを感じる。

子供とキャッチボールをしたことがある父親なら分かると思うけど、公園なんかで休日に小学生の息子とキャッチボールをするとき、人が側にいる場合、その人が離れるまでキャッチボールは手加減するもんだ。
まあ星飛馬親子クラスじゃないと、投げたボールがそれてあらぬ方向に飛んでしまう可能性があるからだ。
万が一幼児にボールが直撃したら事故に繋がる危険性がある。
大人にはその程度の注意力は必要だ。
まあ、それにしてもボールが当ると死ぬ危険性があるとまでは考えていないな。

日常ではやること一つ一つに危険性、安全性を考えて遊んだり、運動したりはしない。

それにしても野外の遊び、運動にはなにがしかの危険性が伴う。
昔も今も変わらない。

何をしても危険性0%、安全性100%なんていうことはありえない。

今回の判決は過酷を通り越して、間違っているよ。
「子供たちには、キャッチボールで人を死に至らす危険性は予見できない」

思うことその二。
でも今回の判決の過酷さ・間違いは別にして、自分の遊びの結果、人を危めたら、その償いはしなくてはならない。
小学生の遊びだから、その結果は何も問われないということはないと思う。
これも昔も今も変わらない。

 

ドラエモン(ドラえもんかな?)漫画でこんな場面があったかと思う。

原っぱ草野球でジャイアンの打ったボールが民家のガラスを割ってしまった。

そこには怖い雷オヤジがいる。
ジャイアンに言いつけられてのびたが渋々謝りに行く。
てっきり雷が落ちてくるのかと覚悟していたら、正直に謝りに来たので、逆にお褒めのご褒美を賜った。

たしかそんな内容だったかと思った。

 

おいらが小学生のころ。

近所の大して広くない原っぱで草野球(3角野球?)をよくやっていた。
広い学校の校庭で草野球ってこともあったけど、近所のガキ仲間と遊ぶときは大抵、原っぱだった。

あるとき、誰かの打ったボールが飛んで原っぱに面した狭い道路にたっている民家の窓ガラスを割ってしまった。
そのあとどうしたかと言うと、おいらたちはいっせいに逃げたわけじゃなく、子供たちでお金を出し合って窓ガラス代を弁償した思い出がある。

ガラスを割られた家の人がガラス代はいいよって言ってくれる場合もあるだろうし、ガラス代を弁償しろって言う人もいる。
どっちもありだ。
ともかくおいらの場合はドラえもんの漫画のようにはいかなかった。

ここで「もしも」だ。

もしも、割れたガラスの側に人がいてガラスの破片がその人の頭に直撃したとしたら、どうなんだろう。
更にもしも、ガラスが割れたため廊下を歩いていたその家のおばあちゃんが驚いて滑って頭を打って、そのため死亡してしまった。てな具合になってしまったら、「ごめんなさい、ガラス代弁償します」ではすまなくなっていた。
当時は今と時代が違うから、一概に論じられないかもしれないけど、亡くなったおばあちゃんの家族が草野球の子供達の親に損害賠償要求を裁判で起こすこともあったかもしれない。
あっても不思議じゃないな。

おいらの草野球では「もしも」は起きなかったけど、宮城県のキャッチボールの児童には起きてしまったわけだ。
割れたガラス代は支払うけど、死んだおばあちゃん対する償いは不要と言うわけにはいかないよな。

予見は出来ないけど、死に至らしめたという事実は残る。

こういう場合、どういう償いをすればいいんだろうか。
割れたガラス代の弁償程度だったらわかるけど、今回のキャッチボール死亡事故になると正直分からない。

今回のキャッチボール死亡事故の判断は難しいね。

             

inserted by FC2 system